膜類加工用 機械販売・各種フィルム/繊維製品向け溶断設備製作・工業用刺しゅうシステム・改造・電気回路設計
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例えば金属ブロックから削り出しで部品を作る場合に、フライスという機械を使用します。

機械はただの機械であり、その金属素材に対してどの回転速度、どのエンドミル(切削刃)、どの順に加工していくか、使う人にお判断に任されます。
ややもすると、爪先でかりかりやっても段差はほぼないのですが、加工した面にとれない跡が残ったり(カッターマーク)、地層のような刃物跡が残ってしまうことがあります。
「それどうやって加工してんの?」「や、どんな刃を使えばこんなになっちゃうんだよ!もうちっときれいにできるだろ」「刃具を大事にしない人がいるんだよね」・・・社内メンバーの間で犯人捜しが始まったりしますが、それはやるからにはきれいに作りたいという現れ。

普段やっている加工には0.1mm単位のものもありますが、ちょっとご紹介します。


アルミ加工時
まず、アルミ塊の角のバリをきれいに除去し、信頼できる隣接した直角面を2面作ります

その上でできるだけ完璧にケガキ線を書き入れます

(動画1)
ブロックの全体形状をケガキに合わせ削っていきます。

今回はアルミで高精度の必要がないので、時計回りにザクザク加工します。

(動画2)
3本のミゾを削って入れますので、一度バイス(万力)からはずして、ケガキし直します。
その上で、エンドミルを交換してミゾ加工を始めました。
完成形状です。
ミゾは真四角の必要がないので、0.2mmのR付きのエンドミルを使用、4mmミゾを4.1mmで仕上げです。

最後にて仕上げでバリを除去します。

四角形の固まりは、たいてい信頼できる平行した2面があります。
ここに直交する垂直面をフライスで面取りして一つ用意します。
そこでようやくプラハンマーで叩いて固定できるようになります。
プラハンマーを使わないと垂直加工はたぶんムリです。

エンドミルでミゾ加工する時がみそで、刃具への抵抗が大きくなり刃がしなってしまわないよう、アルミの材質(柔らかい6000系、硬い2000系など)によって、使用するエンドミルを3枚刃のDLCコーティングにするとか、2枚刃のR付きにするとか判断します。加工速度やゴミの排出が少ないように、少しづつ、そして徐々に大胆に削り取っていきます。

機械にデジタル即長するものが付いていたとしても、最後はノギス以外に現物を当ててみて最終確認しています。

樹脂加工時
まず、塊のバリをきれいにし、直角面を2面作ります。面取り専用のカッターマークの付きにくいエンドミルと使用します。

その上でできるだけ完璧にケガキ線を書き入れ、サイズそのものの削り出しに。
(動画3)
ブロックの全体形状ができたらケガキして、今回は深掘りしますので樹脂用の二枚刃エンドミルに換装。

今回は樹脂用の刃なので、ザクザク粗加工ができましたが初っぱなの筋入れは要注意です。MCナイロンだと切削はいいですがバリが出るようです。

(動画4)
樹脂用のものは長さが足りなかったので荒削りだけして、精確作業は長くて少し太めのR付きのエンドミルを使いました。
(動画5)
完成形状です。
11.4mmの2つのミゾ加工でしたが、11.5-6mmほどにしました。中に入れるものに塗装があり、誤差もあるのでしょうか。ピッタリ寸法で入れにくかったので、そのあたりはもはや自分たち技術者の判断しかありません。
樹脂の難しいのは気温によって変動が想定できる点です。
0.1mm以下の加工は手動フライスではムリですし、仮にできたとしてもセットしたいワークの誤差もあるので、使えるのか判断に迷います。きっちり作ったとしても成功報酬ですし、誤差もあるんですよ?とか、後になって弊社の責任にされることが多いのですが、それはお客様が自分の製造工程をよく理解しないと、管理できない部分です。

機械での部品加工で課題解決できるのは50%まで、後はお客様によってうまく運用できるように合わせてもらわないとならず、恐縮ながらそれがわかるような物作り環境が日本に少なくなってきているのでお客様が理解しにくくなってきています。
やっぱり管理者といえどで物作りを経験して頂かないと、自社の工程管理/生産管理に限界が来ますので、現代の日本での物作りの難しい点は、使用者に重要なパートがあるかもしれません。